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  • 楠見友輔(立教大学文学部)

1.新型コロナウイルスとは

更新日:2020年12月5日

 本記事では、新型コロナウイルスの名称、症状、相談、感染状況、新型コロナウイルスに関する最新の知識を紹介します。


名称

 新型コロナウイルスはCOVID-19(コヴィッド-ナインティーン)とも呼ばれます。COは「コロナ(Corona)」を表します。顕微鏡でウイルスを観察した時に見られる突起が「王冠」に似ていることから、ギリシャ語で王冠を意味するコロナにちなんでWHO(世界保健機関)によって名づけられました。

『株式会社バイタリフィにて3Dモデル作成』より1


 コロナウイルスには人間以外の動物に感染する種類と、人間に感染する種類があります。人間に感染するコロナウイルスのうち有名なものに、風邪を引き起こすウイルス、2000年代初頭に猛威を振るった急性呼吸器症状群を引き起こすサーズコロナウイルスなどがあります2

 VIは「ウイルス(Virus)」を表します。ウイルスは生物を宿主とし、宿主を渡り歩く中で増殖と拡散をする物質です。ウイルスは「細菌(バクテリア)」とは異なり、生物の構成要素である細胞を持ちません。細胞を生物の条件とみなす立場からは、ウイルスは無生物となります。しかし、ウイルスは遺伝子情報であるDNAまたはRNAを持っているため、自身を複製することができます。その複製の際に宿主の細胞を借りますが、複製の過程で細胞に病気を引き起こします。

 Dは「病気(Disease)」を表します。従って、COVIDはコロナウイルス感染症のことを指しています。ウイルス自体の名称は、SARS-CoV-2です。-19は2019年に初めに人間のウイルスへの感染が確認されたことを指しています。WHOが中国の武漢での症例を確認したのは2019年12月31日でした。


症状

 新型コロナウイルスの症状として、WHOでは以下のようなものを上げています


・最も共通して現れる症状

  熱

  乾いた咳

  倦怠感

・いくらかの患者に現れる他の症状

  味覚と嗅覚の喪失

  鼻づまり

  結膜炎

  のどの痛み

  頭痛

  筋肉痛・関節痛

  皮膚の発疹

  吐き気・嘔吐

  下痢

  寒気・めまい

・重症者に現れる症状

  息切れ

  食欲不振

  錯乱

  持続的な胸の痛みや圧迫感

  38度以上の高熱


 その他、あまり一般的ではない他の症状として、意識の低下なども挙げられています。新型コロナウイルスは潜伏期間が長く、厚生労働省によると、感染から発症までの潜伏期間は1日から12.5日(多くは5日から6日)とされています



相談

 2020年11月1日現在、厚生労働省は以下に該当する場合に、最寄りの保健所に設置されている「帰国者・接触相談センター(地域によって名称が異なる場合がある)」に相談するという目安を示しています。


・息苦しさ(呼吸困難)、強いだるさ(倦怠感)、高熱等の強い症状のいずれか

・重症化しやすい方(※)で、発熱や咳などの比較的軽い風邪の症状がある場合

(※)高齢者、糖尿病、心不全、呼吸器疾患(COPD等)等の基礎疾患がある方や透析を受けている方、免疫抑制剤や抗がん剤等を用いている方

・上記以外の方で発熱や咳など比較的軽い風邪の症状が続く場合


 各地域の「帰国者・接触相談センター」及び、厚生労働省が開設している電話相談窓口は首相官邸のホームページに最新の電話相談窓口がまとめられています。


「各都道府県の新型コロナウイルスに関するお知らせ・電話相談窓口(首相官邸HP)」


 また、「コロナのことが不安で眠れない」などの心のケアに関する相談窓口が各自治体で開設されており、厚生労働省のホームページに情報がまとめられています。


「新型コロナウイルス感染症に係る心のケアに関する自治体相談窓口一覧(厚生労働省HP)」


感染状況

 各自治体における感染情報は自治体ホームページやニュースなどで見ることができます。日本における新型コロナウイルスの感染情報の統計的データは厚生労働省のホームページを参考にするのが良いでしょう。以下のページでは、陽性者数、PCR検査実施人数、入院治療等を要する者の数、退院または療養解除となった者の数(累計)、死亡者数、PCR検査の実施件数、重症者数が公開され、順次更新されています。


「新型コロナウイルス感染症について(厚生労働省HP)」


 世界の新型コロナウイルスの感染情報のデータは、NHKホームページにおいて世界や地域の感染者・死者数がまとめられています。


「特設サイト 新型コロナウイルス:世界の感染状況(NHKのHP)」


新型コロナウイルスに関する最新の知識

 2020年10月29日に、厚生労働省が新型コロナウイルス感染症について10月末までに明らかになっている科学的知見についてのまとめを公開しました。以下の10の質問についての10月末までに明らかになっている知識が10枚の資料にまとめられています。


・新型コロナウイルス感染症の患者数・病原性

1.日本では、どれくらいの人が新型コロナウイルス感染症と診断されていますか。

2.新型コロナウイルス感染症と診断された人のうち、重症化する人や死亡する人はどれくらいですか。

3.新型コロナウイルス感染症と診断された人のうち、重症化しやすいのはどんな人ですか。

4.海外と比べて、日本で新型コロナウイルス感染症と診断された人の数は多いのですか。

・新型コロナウイルス感染症の感染性

5.新型コロナウイルスに感染した人が、他の人に感染させる可能性がある期間はいつまでですか。

6.新型コロナウイルス感染症と診断された人のうち、どれくらいの人が他の人に感染させていますか。

7.新型コロナウイルス感染症を拡げないためには、どのような場面に注意する必要がありますか。

・新型コロナウイルス感染症に対する検査・治療

8.新型コロナウイルス感染症を診断するための検査にはどのようなものがありますか。 9.新型コロナウイルス感染症はどのようにして治療するのですか。

10. 新型コロナウイルスのワクチンは実用化されているのですか。


「(2020年10月時点)新型コロナウイルス感染症の"いま"についての10の知識(厚生労働省HP)」


 学校教育に大きく関連する情報としては、2と3の重症化リスクと年齢の関係についてでしょう。感染者のうち重症化しやすいのは、高齢者と基礎疾患のある人ということが明らかになってきています。基礎疾患としては、「慢性腎臓病」「慢性閉塞性肺疾患」「糖尿病」「高血圧」「心血管疾患」「肥満(BMI30以上)」が挙げられています。学齢期(10歳代)の重症化率は最も低くなっています。

 しかし、子どもの重症化リスクが低いからといって、子どもの感染予防を怠ってはなりません。子どもを媒介としてウイルスの拡散が広がることで、社会経済活動が非正常化し、結果的に学校教育が停止したり、質の高い教育を提供することが困難になってしまう恐れがあります。

 次回以降の記事では、新型コロナウイルスが教育活動に及ぼしている影響、コロナ禍での教育のあり方、等についての考察を行っていきたいと思います。




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