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  • 楠見友輔(立教大学文学部)

2.新型コロナウイルスの感染経路

更新日:2020年12月5日

 本記事では、現在までに分かっている新型コロナウイルスの感染経路についてまとめたいと思います。感染経路を理解することが、学校において子どもと職員の感染予防、子どもへの新型コロナウイルスに関する教育、コロナ禍での教育の継続において、最も重要であるといえます。

 新型コロナウイルスの感染経路として、これまで大きく報道されてきたものとして、接触感染と飛沫感染、があります。それぞれの感染対策がこのどちらの感染を予防しているのかは区別して考える必要があるでしょう。マスクでは接触感染は防げません。手洗いでは飛沫感染は防げません。それぞれの予防の意義を理解する必要があります。

 また、最近ではエアロゾル感染する可能性があることが指摘されています。対人距離2mというのは飛沫感染を防ぐ上で有効な距離ですが、エアロゾル感染を防ぐことはできません。エアロゾル感染を防ぐためには建物や部屋の空調や換気を徹底するなどの対策が必要となります。

 以下では、A.接触感染、B.飛沫感染、C.エアロゾル感染のそれぞれについてのこれまでに分かっている知識についてまとめていきたいと思います。


A.接触感染


『日本学校保健会』より


 この項では、1)接触感染の基本知識、2)物の表面におけるウイルスの生存期間、3)接触感染への対策について書いていきます。


1)接触感染の基本知識

 厚生労働省によると、接触感染は次のように説明されています。


 感染者がくしゃみや咳を手で押さえた後、その手で周りの物に触れるとウイルスがつきます。他の方がそれを触るとウイルスが手に付着し、その手で口や鼻を触ると粘膜から感染します


 接触感染は物を媒介とした感染であるといえます。


2)物の表面におけるウイルスの生存期間

 BBCニュースJAPANの10月12日の記事に物の表面に新型コロナウイルスがどれくらいの期間生存状態で残るのかがまとめられています。記事の内容をまとめると以下のようになります。


紙幣やガラスの表面……2~3日間

プラスチックやステンレススチール……最長6日間

携帯電話のガラススクリーンやプラスチックなどのつるつるした表面……28日間


 しかし、同じ記事の中で、他の研究者が「私の見解では、感染力のあるウイルスが物の表面で生き延びるのはせいぜい数時間だろう」と述べていることや、また別の研究者が「新型ウイルスが物体の表面を介して広まることはない」と述べていることも示されています。屋内外の温度や湿度、人間の粘液の付着具合などによって、ウイルスがどの程度生存できるかは異なってくるようです。楽観視をせず、しかし過度に不安を煽ることなく、適切な対策を講じることが求められるといえます。


3)接触感染への対策

 接触感染の感染経路を踏まえると、自分が接触感染しないための2つの対策が有効であることが分かります。第一は物の表面を清拭・消毒することです。第二はウイルスが付着している可能性がある物に触った手で自身の目鼻口を触らない、またこまめに手洗いをするということです。


清拭・消毒

 第一について、清拭(せいしき:cleaning)と消毒(Disinfeccting)は区別されます。アメリカ疾病予防管理センターによると、清拭は石鹸(または洗剤)と水を使って物の表面に付着した雑菌、汚れ、不純物を物理的に除去することを指します。清拭ではウイルスは死滅しませんが、ウイルスを除去することで感染リスクを低減させます。消毒は化学薬品を使って物の表面に付着したウイルスを死滅させます。この過程では物の汚れを落とすことはできませんが、清拭した後の表面に残っているウイルスを殺すことで感染リスクを更に低減させます。

 学校には個人が使用する物と共有する物がありますが、それぞれを同じように清拭・消毒する必要はありません。物の用途に合わせた対策が必要と言えます。大きく分けると、共有物(ドアノブ、電気等のスイッチ、施設の備品、教材教具など)、私的利用をする公共物(机や椅子など)、個人の私物があります。他人が触れる可能性が低い個人の私物を念入りに清拭・除菌をする意味はないでしょう。私的利用をする公共物には机や椅子などがありますが、これは他の人が触れる可能性がある場合には清拭・除菌を行い、それ以外の場合には清拭・除菌のスケジュールを決めて行うと良いでしょう。共有物の場合には、こまめな清拭・除菌が必要であるといえます。また、清拭・除菌が難しい共有物は触れないようにするといった対策も考えられます。

 東京都教育委員会が9月14日に出した「新型コロナウイルス感染症対策と学校運営に関するガイドライン【都立学校】~学校の「新しい日常」の定着に向けて~改訂版ver2」では、子どもや職員が良く触る部分の清掃について以下のように書かれています。


 教室やトイレなど児童・生徒等が利用する場所のうち、特に多くの児童・生徒 等が手を触れる箇所(ドアノブ、手すり、スイッチ、窓枠、窓の鍵など)は、1日 1 回以上消毒液(消毒用エタノールや次亜塩素酸ナトリウム)を浸した布巾やペーパータオルを用いて清拭する。消毒作業中は換気を十分に行い、目、 鼻、口などを触らないようにする。また、教室には感染症対策チェックリストを設置し、消毒を行った日時を記録する


 清掃チェックリストは同ガイドラインのホームページからダウンロードすることができます。消毒のポイント、消毒液の作り方等に関しては文部科学省の「学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアル~「学校の新しい生活様式」(2020.9.3Ver.4)」の28ページ~31ページを参考にすると良いでしょう。

 なお、文部科学省は次亜塩素酸水の使用に関して6月4日づけの「学校における消毒の方法等について」で「児童生徒等がいる空間で使用しないでください」としていましたが、6月16日に発表された衛生管理マニュアルからは使用を認めるようになりました。現在では、の添付資料の資料11に「「次亜塩素酸水」を使ってモノのウイルス対策をする場合の注意事項(アルコールとは使い方が違います)」に使用方法が記載されています。ただし、次亜塩素酸水の空間噴霧に関しては有効性が確証されているわけではなく、WHOや厚生労働省は消毒剤の空間噴霧には「推奨しない」としています


手洗い

 第二について、接触感染では目、鼻、口の粘膜を通じてウイルスが体内に侵入するため、物の表面を触った手でそれらの部位を触らないことが重要です。また、それらの部位を触るまでの間に手洗いをする必要があります。正しい手洗い方法についての動画が厚生労働省のホームページで紹介されています。動画によると、次のように紹介されています。


①石けんを泡だてながら手のひらどうしをよくこすり合わせる

②両手の甲をこすり洗いする

③指の間を洗う

④親指と手のひらをねじり洗いする

⑤指先・爪の間を洗う

⑥手首を洗う

・最低15秒かけて洗う

・手を洗った後は清潔なタオルなどで水分をよく拭き取って乾かす


『厚生労働省ホームページより』


 文部科学省の「学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアル~「学校の新しい生活様式」(2020.9.3Ver.4)」では、「外から教室等に入る時やトイレの後、給食(昼食)の前後など、こまめに手を洗うことが重要です。」されており、手洗いは30秒程度かけて行うと書かれています。また、手を拭くタオルやハンカチ等は個人持ちとして、共用はしないように指導すると書かれています。

 文部科学省の上記のマニュアルでは、手指用の消毒液は補助的に用いられるものと書かれており、児童生徒等に一律に消毒液の持参を求めることは適当ではない(それぞれの保護者が希望する場合には、この限りではない)と書かれています。なお、うがいに関しては「手洗い・うがい」として健康管理のためのルーティンとして示している学校や自治体のホームページがありますが、文部科学省や厚生労働省の感染症対策に関するマニュアルやガイドラインには記載がありません。 


B.飛沫感染

 

『日本学校保健会』より


 この項では、1)飛沫感染の基本知識、2)飛沫の飛散距離、3)飛沫感染への対策について書いていきます。


1)飛沫感染の基本知識

 厚生労働省によると、飛沫感染は次のように説明されています。


 感染者の飛沫(くしゃみ、咳、つばなど)と一緒にウイルスが放出され、他の方がそのウイルスを口や鼻などから吸い込んで感染します


 飛沫感染は呼吸器飛沫を直接吸い込むことによって感染する感染経路であり、空気感染とは異なります。初期の研究では、新型コロナウイルスの感染経路は接触感染と飛沫感染と考えられており10、現在でも主たる感染経路とされています。


2)飛沫の飛散距離

 飛沫感染は口から呼吸器飛沫が飛ぶ勢いによって飛距離が異なるため、会話より咳の方が飛距離は長く、咳よりもくしゃみの方が飛距離が長いといえます12。以下の引用先に掲載されているJayaweera, Perera, Gunawardana, & Manatunge(2020)による論文では、新型コロナウイルスの飛沫感染とエアロゾル感染に関する研究がレビューされていますが、呼吸、咳、くしゃみによってどのように感染者の口から放出されるのかが図示されています。



 引用先Fig. 2の一番上の(a)がくしゃみ、真ん中の(b)が咳、一番下の(c)が呼吸です。左に立っている感染者(Infected person)の口から下向きに落ちている大きい飛沫(Large droplets)が飛沫感染のもとです。会話をするような状況では1m以上離れていれば飛沫を吸い込むことは少ないといえますが、感染者が咳をした場合には2m離れていてもいくつかの飛沫を吸い込む可能性が高いといえます。感染者がくしゃみをした場合には、2m離れた場所に立っていても多くの飛沫を吸い込むことになるでしょう。


3)飛沫感染への対策

 上記の図からも分かるように、人と接触するような状況にいる場合には、飛沫感染を完全に避けることは難しいといえます。飛沫感染を防ぐための対策としては、感染者が呼吸器飛沫を拡散しない対策をすることと、人びとが社会生活の中で一定の身体的距離を保つ行動をとることです。


マスク

 呼吸器飛沫を拡散しないためには感染者がマスクを着用することが重要です。ただし、新型コロナウイルスの場合には感染をしても無症状である人が多いため、感染者のみならず全ての人が自分がウイルスに感染しているかもしれないという意識を持って普段からマスクを着用することが重要だといえます。ただし、他者との一定程度の身体的距離が保たれている場合には、マスクを外すことが推奨されることもあります。マスクの正しい付け方の動画が厚生労働省のホームページで紹介されています。動画によると、次のように紹介されています。


①マスクを着ける前に、シッカリと手洗いをする

②マスクを鼻の形に合わせ隙間を防ぐ

③マスクを下まで伸ばし顔にフィットさせる

・不織布マスクは使い捨て

・使い終わったマスクはビニール袋に入れ口を閉じて捨てる


『厚生労働省ホームページより』



咳エチケット

 続いて呼吸器飛沫を拡散しないうえで重要なこととして「咳エチケット」があります。咳エチケットとは、咳やくしゃみをする際にマスク、ティッシュ、ハンカチ、袖で口と鼻を覆うことです。厚生労働省は次のように3つの正しい咳エチケットと2つの悪い事例を挙げています13


3つの正しい咳エチケット

1.マスクを着用する

2.ティッシュ・ハンカチなどで口や鼻を覆う

3.上着の内側や袖(そで)で覆う

悪い事例

・せきやくしゃみを手でおさえる

 ……せきやくしゃみを手でおさえると、その手で触ったドアノブなど周囲のものにウイルスが付着します。ドアノブなどを介して他の人に病気をうつす可能性があります。

・何もせずにせきやくしゃみをする

 ……せきやくしゃみをするとき、しぶきが2m ほど飛びます。しぶきには病原体が含まれている可能性があり、他の人に病気をうつす可能性があります 。


フェイスシールド

 呼吸器飛沫を拡散しない方法として、フェイスシールドも場合によっては有効です。文部科学省の「学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアル~「学校の新しい生活様式」(2020.9.3Ver.4)」によると、フェイスシールドは、教育活動の中で、顔の表情を見せたり、発音のための口の動きを見せたりすることが必要な場合には一つの方策として活用できるとされています。

 しかし、フェイスシールドが飛沫を飛ばすことを防ぐ効果は分かっていない点が多く、現段階ではマスクなしでフェイスシールドのみで学校内で過ごす場合には、身体的距離を取ることが望ましいと書かれています。


ソーシャルディスタンシング

 社会生活における身体的距離を保つことは、ソーシャルディスタンシング(またはソーシャルディスタンス)やフィジカルディスタンシングと呼ばれます。他人とどの程度の身体的距離を取るかは状況によって異なってくるでしょう。様々な機関がいくつかの基準を提示しています。


【WHO】

 WHOでは、少なくとも自分と他者との間に少なくとも1m以上の距離を保つことが必要で、それより長いとより良いとしています14

【アメリカ疾病予防管理センター】

 アメリカ疾病予防管理センターは屋内と屋外の両方において、家族以外の人から少なくとも6フィート離れる必要があるとしている。1フィートは約30cmなので、6フィートは約2mといえます15

【環境省、厚生労働省、多くの自治体】

 日本では多くの自治体でソーシャルディスタンスは2mとされています16。環境省と厚生労働省が6月に出したガイドラインでは、熱中症対策と合わせて、身体的距離を2m以上取った上で、マスクをはずすことを推奨しました。

【文部科学省】

 文部科学省の「学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアル~「学校の新しい生活様式」~(2020.9.3Ver.4)」17では、基本的な身体的距離を1mを目安としています。

 

 文部科学省の基準を詳細に見ると、地域の感染レベルによって学校内、学級内における身体的距離の基準を異なるように設定しています。感染レベルは低いものからレベル1、レベル2、レベル3に分けられており、以下のように学校の行動基準を示しています。


レベル1……1mを目安に学級内で最大限の間隔を取ること

レベル2……1mを目安に学級内で最大限の間隔を取ること

レベル3……できるだけ2m程度(最低1m)


 学校外における身体的距離と学校内(学級)内での身体的距離として示されている基準は異なっています。この違いを意識した上で、飛沫感染を防ぐためにどの程度の距離を取る必要があるのかを地域の感染状況を踏まえて各学校で判断する必要があるでしょう。また、子どもには学校内での身体的距離の基準と学校外での身体的距離の基準が異なっていることを分かりやすく伝えることも必要でしょう。子どもによってはニュースや保護者から2m以上距離をとるように言われているにも拘らず、学校内では1mで良いということに混乱する恐れがあります。

 京都大学の山中伸弥教授は、新型コロナウィルスを「狡猾のウイルス」と表現しています。これは、新型コロナウイルスが多くの人に感染が気づかれない状態で広まり、一部の人々に感染した時に重症化をすることからです。山中教授は、「ウィルスは人の力を借りてのみ猛威を振るいます。人が一致団結し、賢く行動すれば、ウイルスは勢いを失います」と述べています18。飛沫感染を防ぐために全ての人の自発的な協力が求められるといえるでしょう。


C.エアロゾル感染


 この項では、1)エアロゾルの基本知識、2)エアロゾルの移動距離と時間、3)エアロゾル感染への対策について書いていきます。


1)エアロゾルの基本知識

 新型コロナウイルスが発見された当初は、主な感染経路は接触感染と飛沫感染であり、一定程度の距離を保てば感染はしないと考えられていた時期がありました。しかし、最近では新型コロナウイルスの飛沫のうち、密閉された空間では一定期間空気中に留まるものがある可能性があることが示されるようになってきました。

 くしゃみや咳などによって感染者から放出された飛沫のうち、大きなものはすぐに下に落ちていきます。しかし、より小さな飛沫は数分から数時間空気中を浮遊し、気流に乗って移動することがあります。このようなウイルスの小さな粒と空気の混合体がエアロゾルと呼ばれています。エアロゾルは室内の気流の流れに沿って広範囲に広がるため、身体的距離を2m以上とっていてもリスクを下げることはできません。因みに、ここでのエアロゾル感染は空気中を長時間ウイルスが浮遊する「飛沫核感染」のことを指して書いていますが、エアロゾルは文脈によっては飛沫感染も含む用語として使われます19

 厚生労働省の医療従事者向けの手引きである「新型コロナウイルス感染症診療の手引き」20では、9月3日に出された第3版から伝搬様式の一つにエアロゾル感染が追記されました。ただし、「エアロゾル感染の流行への影響は明らかではない」とされ、現在の流行における主な感染経路であるとはみなされていないと書かれています。


2)エアロゾルの移動距離と時間

 上で引用したJayaweera, Perera, Gunawardana, & Manatunge(2020)の論文12によると、新型コロナウイルスは、エアロゾル中で3時間生存し続け、また、半減期は推定中央値約1.1~1.2時間であると書かれています。エアロゾルの移動距離は、感染者が呼吸をしたのか、咳をしたのか、くしゃみをしたのかによって初速度が異なります。他の病原体に関するエアロゾルの研究では、感染者が咳やくしゃみをすると病原体を含む飛沫の雲ができ、最大7m~8m移動すると書かれています(12の論文のFig. 2を参照)。その後、エアロゾルは室内の空気の流れに沿って移動することでより遠くに拡散されていきます。

 Jones, Qureshi, Temple, Larwood, Greenhalgh, & Bourouiba (2010)の研究13では、人の密度、屋内と屋外、換気の状況、マスクの着用の有無、接触の時間の関係による、飛沫感染とエアロゾル感染のリスクが図示されています。



 引用先のFig. 3の上段には、「収容力が低い(Low occupancy)」と「収容力が高い(High occupancy)」の区別が書かれていますが、これは密度の高低と言い換えられます。このそれぞれに「屋外で換気がよくなされている(Outdoors and well ventilated)」と「屋内でよく換気されている(Indoors and well ventilated)」と「あまり換気されていない(Poorly ventilated)」が書かれています。左の欄には、上から「フェイスカバーあり、短時間の接触(Wering face coverings, contact for short time)」「フェイスカバーあり、長時間の接触(Wering face coverings, contact for prolonged time)」「フェイスカバーなし、短時間の接触(No face covering, contact for short time)」「フェイスカバーなし、長時間の接触(No face covering, contact for prolonged time)」とあり、それぞれ「沈黙(Silent)」「会話(Speaking)」「大声、歌唱(Shouting, singing)」の場合でリスクが示されています。緑のセルが感染リスクが低く、黄色が中くらいで、赤がリスクが高いとされています。結論として、Jonesら(2020)の論文では、飛沫の移動は室内の気流のパターンの影響を受けるため、何メートルの距離が安全かというルールよりも、状況によるリスクの違いを踏まえた「より含みのあるモデル(More nuanced model)」が重要だとされています。


2)エアロゾル感染への対策

 エアロゾル感染を避ける方法は換気の徹底です。換気には「機械換気」と「窓の開放による換気」があります。前者は空調システムを利用して部屋の空気の入れ替えを行うことです。ただし、エアコンでは換気ができないということには注意する必要があります。空調メーカーのダイキン工業21がエアコンの仕組みをホームページ上で解説し、エアコンは部屋の中の空気を吸い込んで、それを冷たくしたり温かくしたりした後で、部屋の中に空気を戻しているので、空気の入れ換えをしておらず、「ほとんどのエアコンでは換気ができません」と注意喚起をしています。

 窓の開放による換気について、文部科学省の「学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアル~「学校の新しい生活様式」(2020.9.3Ver.4)」では、以下のように書かれています。


 換気は、気候上可能な限り常時、困難な場合はこまめに(30分に1回以上、数分間程度、窓を全開する)、2方向の窓を同時に開けて行うようにします。授業中は必ずしも窓を開ける必要はありませんが、気候、天候や教室の配置などにより換気の程度が異なることから、必要に応じて換気方法について学校薬剤師等と相談します。


 学校の教室や他の部屋の形状によっては窓がなかったり風通しが悪かったりする場合があるかもしれません。上記のダイキン工業のホームページ21では窓のない部屋、窓が一つしかない部屋などを含む様々な間取りの家における換気の方法が紹介されているので、換気について多くを学ぶことができます。

 

さいごに

 本記事では、新型コロナウイルスの3つの感染経路として、接触感染、飛沫感染、エアロゾル感染を説明してきた。これらの3つの経路に関する5月以前の研究についてまとめられている記事が日本医師会のホームページに掲載されているので、より詳細に知りたい方は参考にするとよいと思います22。上記の感染を防ぐための最も効果的な方法は「3密」を避けることにあることは良く知られている通りです。3密とは、「密閉空間」「密集空間」「密接空間」のことであり、これらを避けることがウイルスへの感染予防とウイルスの拡散予防にとって有効であることがこれまでの記事の内容から分かると思います。3密は三つの密が「重なる」ことによってリスクが高まることを指しています。新型コロナウイルスの感染経路と対策を理解し、状況に応じた行動をとることが必要であるといえます。


『パルコデジタルマーケティングより』



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