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会長挨拶

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 2011(平成 23)年に、大阪教育大学特別支援教育講座の教員有志、大学院・特別専攻科・学部の学生有志で結成した「東日本大震災被災障がい児支援プロジェクト」の活動は、2020(令和2)年に10 年目を向かえました。JRが不通となり、交通が遮断されボランティアがほとんど入ることができなかった被災地の岩手県田野畑村を訪れた1年目、福祉事業所ハックの家と連携して、被災障がい児支援と保護者のレスパイトケアの取り組みをスタートさせました。手探りの中、被災地の方と一緒に懸命に復興に向け歩み始めていました。今も思い浮かべるのは、岩手県の各特別支援学校の先生方から話を伺い、励ましのメッセージの色紙とカンパ金を渡そうと、久慈、宮古、釜石、大船渡、陸前高田とほぼすべての岩手県の沿岸部を縦断し車を走らせた時の、延々と続く震災の傷跡です。この時の被害の大きさとそれにより失われた貴重な命への思いが、この活動を継続させることにつながったと思います。 

 東海・東南海・南海地震等も予見される今こそ特別なニーズのある子どもを含めた防災教育の充実が求められており、この度、「特別ニーズ防災教育研究会」を発足することとしました。現在、新型コロナの影響が学校教育にも及び、自然災害や感染症の流行等学校の危機管理が問われています。賛同して下さる方々と共に情報を共有し、研鑽を重ねる中から、国内外の特別ニーズ防災教育の意義・課題について、情報発信していきたいと思います。

 

 

2020(令和2)年9月19 日 特別ニーズ防災教育研究会 会長 

大阪教育大学 総合教育系特別支援教育部門 

冨永 光昭 

 これまで、宮古圏域(宮古市・山田町・岩泉町・田野畑村)の被災障がい児支援と現地の高校生ボランティアとの交流、皐月祭・霜月祭という年2回の大学祭での被災地の特産物の販売・売り上げ金の福祉作業所ハックの家への送付、活動報告書やDVD、障がい児の防災教育の書籍や諸資料による啓蒙活動を9年間続け、被災地の障がいのある子どもたち・保護者・その関係者と継続した関係を結ぶ意義や特別なニーズのある子どもを含めた防災教育の必要性を発信し続けてきました。 

 その中でも、「釜石の奇跡」といわれる子どもの命を救った「防災教育の重視」は、我々に今後の教育の方向性を示してくれます。釜石では、「障がいのある子と障がいのない子の共に学ぶ教育」も重視され、そのことが「子どもたちが共に逃げる」ことに繋がったと言います。さらに2016(平成28)年度からは、「障がい者差別解消法」が施行され、障がいのある子どもの「合理的配慮」の観点の一つとして、防災体制の整備が明確に位置づけられました。

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