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本研究会における

​インクルーシブ防災の捉え方

【これまでの「災害弱者」の考え方】  
1991 年版の『防災白書』には、次のように「災害弱者」を規定しています。

➀自分の身に危険が差し迫った場合、それを察知する能力が無い、または困難な者

➁自分の身に危険が差し迫った場合、それを察知しても適切な行動を取る事ができない、または困難な者 
➂危険を知らせる情報を受取る事ができない、または困難な者 
➃危険を知らせる情報を受取る事ができても、それに対して適切な行動をとる事ができない、または困難な者

 
【障がい者インクルーシブ防災の考え方】  
2014年4月24日開催の「障害者も参加する防災:知識を通じて固定観念を変えよう」アジア太平洋地域会議(仙台会議)で、「アジア太平洋地域における、レジリエントで、インクルーシブで、公平な社会に向けた障害者も参加する防災促進のための仙台声明」がだされました。 


●この声明では、 


➀アジア太平洋地域の人々、コミュニティそして国々が北米やヨーロッパに比べて30倍以上災害を経験しやすいという事実に対する懸念があること、 
➁障がい者の死亡率が障がいのない人々に比して2~4倍になり得ること、

➂災害が身体的、社会的心理的障がいを起こし、社会の様々なバリアーと相まって障がい者とその家族の社会における経済的、社会的参加を妨げること等が指摘されました。 
 

●主要メッセージとして、 
 

1. 障がい者インクルーシブな防災は、レジリエントで(弾力性があり回復力のある)、インクルーシブで、公平なコミュニティと国の実現において必要不可欠であること、

2. 防災における全ての段階や意思決定過程において障がいのある女子や男子、女性や男性、そして障がい者団体に公平に参加してもらうことは、社会の全ての人々に有意義な参加をしてもらうための前提条件である。そういった知識やスキルは、コミュニティが災害に対するレジリエンスを強めるのに役立つこと、 


(a) 障がい者インクルーシブな防災は、障がい者の災害に対するレジリエンスや生き延びる可能性を最大限に助長すること、
(b) 障がい者インクルーシブな防災は、コミュニティの全ての人の災害に対するレジリエンスや災害を生き延びる可能性を高め、損害や損傷を最小限にとどめること等が示されました。

 
【インクルーシブ防災の考え方】  
この当時、用いられていた「障がい者インクルーシブ防災」の用語とともに、現在、「インクルーシブ防災」の用語が用いられています。この点については、障がい者だけでなく、外国にルーツのある人も含め多様な人たちを当事者として位置づける意図が見られる。本研究会においても、この「インクルーシブ防災」の用語を用いることにしました。 
一般的にも行政的にも、「災害弱者」や「要配慮者」、「避難行動要支援者」、「災害時要援護者」の言葉が用いられていましたが、「防災の支援を要する人」、「防災の支援を受ける人」という考え方から、「防災の主体」、「防災に一緒に取り組む人」というインクルーシブ防災の考え方に転換していく必要があります。 
このインクルーシブ防災の考え方には、次の4つのポイントがあります。

① 防災において、多様性がふまえられていること(多様性)。 
② 障がいのある人や外国にルーツのある人を含め誰もが安全であること(安全性)。

③ 防災の意思決定に当事者が参加できること(当事者性)。 
④ 合意形成のもと、防災の意思決定に対する合理的配慮が考慮されていること(公平性)。

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